インナーマッスルとは何?その役割とは?
インナーマッスルとは何か
インナーマッスルとは?
簡単にいうと、身体の深層に位置する筋肉のこと。
深層筋ともいわれます。
深層にあるのでどんなに鍛えても
シックスパックのように身体の表面にくっきり現れることはない。
インナーマッスルの役割とは何か
インナーマッスルの役割を一言でいえば姿勢の安定。
例えば認知度の高いトレーニングの一つに上記のプランクがあります。
プランクで姿勢が安定しているか否かの判断基準は、
お尻と背中を結ぶラインが床に対して平行かどうか
この点に注目してください。
上記のプランク写真では平行になっているのがわかります。
ところが、背骨を支える力が弱いとどうなるか?
当然、姿勢は崩れます。
特徴的な崩れ方は
お尻が極端に落ちるか上がるか
わかりやすくいうと下記のようなヨガのポーズに似た姿勢です。
もちろん、ヨガのポーズとしてやっているなら何も問題はありません。
しかし、背骨を支える力が弱くてそうなるなら問題です。
そのままやっていれば腰や肩に負担がかかります。
これは腕立て伏せでも同じこと。
つまり、インナーマッスルで身体を支えることはトレーニングの大前提なんです。
体幹、骨盤のインナーマッスルについて
代表的な体幹、骨盤のインナーマッスル
体幹、骨盤のインナーマッスルといえば横隔膜、多裂筋、腹横筋、骨盤底筋
これらは総称してインナーユニットと呼ばれ、
骨格や内臓を支えているので姿勢の安定に大きく影響します。
文字通りそれぞれが単独で作用するわけではありません。
体幹のインナーマッスルの一つ腹横筋
最も認知されている腹筋はシックスパックに象徴される腹直筋。
腹直筋以外には外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋があり、
以下の順に表層から深層に位置しています。
腹直筋(最も表層)
↓
外腹斜筋
↓
内腹斜筋
↓
腹横筋(最も深層)
最も深層にある腹横筋は姿勢の安定に関与しており、
腹横筋が収縮すると帯が巻き付くように腰椎を固定して姿勢を安定させます。
つまり、腹横筋の力が弱いのに腹直筋や外腹斜筋が強いと腰に負担がかかります。
体幹のインナーマッスルの一つ横隔膜
横隔膜は東京ドームの屋根のようにふくらんだ構造になっています。
そして息を吸うと横隔膜は収縮します。
横隔膜が収縮すると以下のような状態になります。
横隔膜が下がる
↓
胸郭が広がる
↓
肺の中に空気が取り込まれる
↓
腹部の内臓が前に押し出される
↓
お腹がふくらむ
反対に
息を吐くと横隔膜は弛緩します。
横隔膜が弛緩すると以下のような状態になります。
横隔膜の形が元に戻る
↓
胸郭の形が元に戻る
↓
肺の中から空気が押し出される
↓
腹部の内臓が元の位置に戻る
↓
お腹のふくらみが元に戻る
横隔膜が適切に働くことで正常に呼吸を行うことができます。
以上から横隔膜は腹式呼吸において重要な働きをします。
体幹のインナーマッスルの一つ多裂筋
多裂筋は背骨を後方から支えています。
実際には多裂筋が単独で作用するわけではなく、
腹横筋など他のインナーマッスルと協調しながら背骨を支えます。
これにより、背骨の自然なS字をキープすることができます。
骨盤を支えるインナーマッスル骨盤底筋
骨盤底筋は上記のように骨盤の最下部から骨盤を支えています。
さらに子宮や膀胱も支え、そして排泄のコントロールもします。
インナーユニット
最近、体幹というフレーズがやや一人歩きしている感はありますが、
トレーニングにおいて体幹と骨盤はセットで考えるべき。
なぜなら体幹を支える横隔膜、多裂筋、腹横筋と骨盤を支える骨盤底筋はそれぞれが共同作業しながら以下のような働きをするからです。
股関節のインナーマッスルについて
股関節の特徴
股関節は上記の通り、大腿骨の先端である大腿骨頭と骨盤側の臼蓋で構成されます。
人体の中でも肩関節に次いで自由度の高い関節です。
自由度が高いということは裏を返せば安定性が低いということ。
それには支える筋力がより重要。
つまり、インナーマッスルです。
股関節を身体の横から支える中殿筋
中殿筋とは股関節のインナーマッスルの一つ。
ちょうど横から股関節を支えています。
股関節を身体の後方から支える深層外旋六筋
深層外旋六筋とは梨状筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋の6つの総称です。
深層外旋六筋は股関節を後方から支えています。
股関節のインナーマッスル強化は外転と外旋に注目
股関節のインナーマッスは数が多いのでそれぞれ単独で鍛えるのは非効率的。
そこで注目したいのが股関節の外転と外旋という動き。
下記のように片脚に全体重を乗せて立つと、
浮かせた脚は外向きに動きやすくなります。
この外向きに動いた状態が股関節の外転と外旋。
実は中殿筋と深層外旋六筋には外転もしくは外旋の作用があります。
つまり、股関節を外転、外旋させる要素が含まれたトレーニングを行えば、
それがそのまま股関節インナーマッスルの強化につながるというわけです。
腸腰筋はインナーマッスル?
体幹のインナーマッスルについては腸腰筋もその一つです。
上記のように上半身と下半身をつないでいるので姿勢の安定にも重要。
そして、腸腰筋の作用というと股関節の屈曲が挙げられます。
股関節の屈曲とは主に
- 脚を引き上げる
- スクワットで屈伸する
で起こる動きです。※下記参照
ここで注意しておきたいのが姿勢の安定に関与するのはどちらかという視点。
・脚を引き上げる際は主に腸腰筋の力で引き上げる
→腸腰筋の力が脚を引き上げる動作に使われている
・スクワットでは腸腰筋を含めインナーマッスルの力で姿勢を安定させる
つまり、機能解剖学的には腸腰筋は股関節を屈曲させる作用がありますが、
姿勢の安定を考えたらスクワットやその類似動作で強化する方が実用的。
腸腰筋を強化する際はこの点を十分に理解しておきましょう。
肩のインナーマッスルについて
肩関節の特徴
肩関節は上記の通り、上腕骨の先端である上腕骨頭と肩甲骨の関節窩で構成されます。
人体の中で最も自由度の高い関節です。
股関節同様に支える筋力がより重要。
つまり、インナーマッスルです。
ローテーターカフ
肩のインナーマッスルとは、
棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋
これらはローテーターカフとも呼ばれます。
野球など腕の動きを使う全ての競技で重要です。
一般の人であっても肩に痛みがある場合は、
インナーマッスルの機能が低下している可能性が疑われます。
ですから、野球選手がやるようなインナーマッスルトレーニングが一般の人にも適用されます。
実際に整形外科で肩のリハビリを行う際は必ずインナーマッスルにアプローチします。
その理由は下記の通り。
ローテーターカフの筋力は上腕骨を支える要素の一つだからです。
※野球で肩のインナーマッスルが重要な理由については下記の動画を参照してください。
インナーマッスルのトレーニングを部位別に紹介
体幹、骨盤
ドローイン
腹横筋の収縮に的をしぼったトレーニングがドローイン。
ドローインの概要
背骨の自然なS字をキープ
↓
腹式呼吸で息を吸い込む
↓
背骨のS字をキープしたまま息を吐く
↓
息を吐ききってお腹をへこめる
↓
お腹をへこめた状態を10秒キープ
以上を10回×3セット繰り返す。
このトレーニングの主な対象者は以下のような人です。
- 慢性の腰痛に悩まされてる
- 猫背や反り腰が常態化している
- 腰のケガなどで体幹の筋力が低下している
つまり、健常者にベストな方法ではありません。
試しにやってみて簡単にできてしまう人は次のブレーシングに進みましょう。
ブレーシング
ブレーシングは腹横筋以外の腹筋群とインナーユニットを使って行います。
※腹横筋以外の腹筋群とは腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋。インナーユニットとは腹横筋、横隔膜、多裂筋、骨盤底筋。
ブレーシングの概要
背骨の自然なS字をキープ
↓
腹式呼吸で息を吸い込む
↓
背骨のS字をキープしたまま息を吐く※
※ただし、息を吐く際もお腹のふくらんだ状態をキープ
以上を10回×3セット繰り返す。
ブレーシングはスクワットやデッドリフトなど強度の高いトレーニングでは必須の方法です。
ブレーシングを十分に行わないでトレーニングをしていると遅かれ早かれ腰などを痛めることになります。
ヒップリフト:ベーシック
ヒップリフト(ベーシック)の概要
両膝を曲げて寝た状態でブレーシング
↓
上半身と太ももが一直線になるまでお尻を持ち上げる
↓
お尻の高さを5秒キープしてから下ろす
以上を10回×3セット繰り返す。
ヒップリフト:アドバンス
バランスボールを使うことでヒップリフトの強度を上げることができます。
手順、要点は上記の動画を参照してください。
もちろんブレーシングは必須です。
プランク:ベーシック
プランクでブレーシングができていないと腰に負担がかかります。
ブレーシングができているか否かの判断基準は以下
お尻と背中を結ぶラインが床に対して平行かどうか
平行になっていないとインナーユニットは機能しません。
30秒×3セットを目標に実施しましょう。
プランク:アドバンス
ブレーシングはもちろん肩甲骨を固定する力も必要です。
概要
- バランスボールに両手を置いて上記のような姿勢をとる
- 上半身と下半身を一直線上にキープする
30秒×3セットを目標に実施しましょう。
股関節
ヒップアブダクション
ヒップアブダクション の概要
横向きに寝た状態でブレーシング
↓
片脚を45度まで持ち上げ5秒キープ
以上を10回×3セット繰り返す。
プランク+ヒップアブダクション
上記のようにプランクしたまま片脚を横に曲げて浮かすと中殿筋に負荷がかかります。
ブレーシングはもちろん股関節が安定しないと姿勢が崩れます。
30秒×3セットを目標に実施しましょう。
肩関節
棘上筋、棘下筋のトレーニング
上記の動画は野球向けですが、一般の人も問題なく取り組める内容です。
棘上筋、棘下筋のトレーニングに役立てください。
やり方、注意点など詳しく解説しています。
ここに注目!
1:20/チューブを使った方法
3:09/ダンベルを使った方法
肩甲下筋のトレーニング
上記の動画も野球向けですが、一般の人も問題なく取り組める内容です。
肩甲下筋のトレーニングに役立てください。
やり方、注意点など詳しく解説しています。
ここに注目!
1:54/チューブを使った方法その1
4:01/ダンベルを使った方法
4:31/チューブを使った方法その2
6:13/チューブを使った方法その3
棘下筋、小円筋のトレーニング
上記の動画も野球向けですが、一般の人も問題なく取り組める内容です。
棘下筋、小円筋のトレーニングに役立てください。
やり方、注意点など詳しく解説しています。
ここに注目!
1:38/チューブを使った方法その1
4:43/ダンベルを使った方法その1
5:30/チューブを使った方法その2
7:22/ダンベルを使った方法その2
8:00/チューブを使った方法その3
9:59/ダンベルを使った方法その3
まとめ
トレーニングの負荷が増すほどインナーマッスルの重要性は大きくなります。
特にインナーユニットの機能はほとんどのトレーニングで必須といっても過言ではありません。
また、野球など目的によっては強化する対象も増えます。
腰や肩に違和感があるときは基本に戻って再度インナーマッスルを強化しましょう。
吉祥寺のパーソナルトレーニングジム
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