背骨のコンディショニングで姿勢やスタイルを改善するならストレッチや筋トレのやり方にこだわろう
背骨の自然なS字が崩れると姿勢やスタイルも崩れる
姿勢やスタイルの良い人の背骨はS字に近くなっているように見えます。
一方で猫背、反り腰、側弯などのように背骨のS字が崩れて歪むと姿勢やスタイルも崩れて目立ってきます。
なぜ、背骨のS字が崩れると姿勢やスタイルは崩れるのでしょうか?
なぜなら、S字が崩れることで身体の各パーツが本来あるべき位置から外れるからです。
- 身体の各パーツ
- 本来あるべき位置
そう言われてもピンとこない人は以下のイラストを見てください。
肝臓や胆嚢、脾臓、胃などの臓器(以下、臓器)が腹腔という腹部の空間(腹腔内)に収まっていますが、背骨のS字が崩れて猫背、反り腰、側弯などが起こると臓器を適切な位置に抑え込む※筋力が弱くなります。※抑え込むとは、適切な位置で安定させるという意味です。
すると臓器が本来あるべき位置から外れてお腹がぽこっと出てきます。
さらに、臓器を抑え込む筋力が弱いと骨盤を支える力にも影響が出ます。
これは妊婦を例にするとわかりやすいのですが、一般的にお腹が大きくなっていくとそれに合わせて腰を反るようになっていきます。
これは以下のイラストにあるように腹筋と背筋のバランスが崩れて、背筋は緊張していくけど腹筋は緩んでいくからです。
すると、背筋の一部である腰部の筋肉が過度に緊張する一方、腹筋は緩んで力が入りにくくなります。
つまり、腰部の筋力で骨盤を後方から支える力は強いが、同時に腹部の筋力で骨盤を前方から支える力は弱くなります。
ですから、腰を反り過ぎた姿勢というのは骨盤が歪んでいくことになります。
さらに、反り腰が慢性化すると腰部の筋肉が硬くなりますが、同時に骨盤及び肩甲骨周囲の筋肉とをつないでいる胸腰筋膜が緊張して硬くなります。
胸腰筋膜とは、上記のイラストにあるように骨盤及び肩甲骨周囲の筋肉との中継点のようなものです。
その中継点が硬くなってしまえば、当然のように肩甲骨の動きに影響を与えることになります。
すると、肩甲骨が特定の方向に引っ張られて本来あるべき位置から外れます。
これが猫背につながることは珍しくありません。
さらに、股関節や膝、足首などに既往歴があると身体の左右バランスにも影響が出る可能性が高くなります。
左右バランスの差を放置していると身体の不均衡を補うために側弯になる可能性も出てきます。
以上から、姿勢やスタイルを改善するには可能な限り背骨の自然なS字を取り戻すべきなのです。
そこで、注目されるのが背骨のコンディショニングとそのやり方です。
背骨のコンディショニングは肩甲骨と骨盤からアプローチすると効率的
背骨のコンディショニングといっても背骨だけをどうこうしようというわけではありません。
背骨のコンディショニングを考える上では肩甲骨と骨盤が重要なパーツになります。
その理由は、積木を例に考えるとわかりやすいので、以下のイラストを参照してください。
背骨にあたる積木の上部に肩甲骨、下部に骨盤にあたる積木がそれぞれあるのがわかります。
肩甲骨や骨盤を表している積木が不安定な状態になれば背骨を表している積木も影響を受けて形が崩れるのは一目瞭然です。
これは人体でも同じことで、肩甲骨が自然な位置から外れれば背骨の自然なS字も崩れるし、骨盤が歪めば同様に背骨の自然なS字も崩れるのです。
ですから、背骨のコンディショニングでは肩甲骨や骨盤に注目したストレッチや筋トレのやり方がポイントになります。
肩甲骨と胸椎をセットで考えよう
肩甲骨といえば、肩甲骨体操とか肩甲骨エクササイズなどとして特集されるくらい一般的なパーツですが、背骨の動きと連動していることを忘れてはいけません。
背骨の中でも特に胸椎との関係性に注目です。👀
なぜなら、胸椎が不自然な形で固まったまま肩甲骨を動かそうとしても首や肩がすくんだり、腰を反り過ぎた姿勢になりやすいからです。
具体的にいうと、
肩甲骨が内転するとき、胸椎は伸展する
肩甲骨の内転とは以下のイラスト右側にあるように、左右の肩甲骨が背骨に接近する動きです。
一方で、胸椎の伸展については上のイラスト左側に注目しましょう。
まず、イラストにあるように胸椎は生理的に後弯※しています。
胸椎が伸展するというのは、以下のようにカーブの丸みが少なくなりフラットな形に近くなるということです。
先述の通り、肩甲骨が内転するときに胸椎は伸展します。
ところが、肩甲骨を内転させようとするときに胸椎が伸展しないと首や腰周りに余分な力が入る可能性が高くなります。
首や腰周りに余分な力が入れば背骨全体のバランスが崩れるのは容易に想像できるはずです。
つまり、背骨の自然なS字を取り戻す上では大きなマイナス要素になるのです。
そこで、以下の写真にあるシーテッドロウイングというトレーニングマシンを参考にしながら、具体例を提示します。
シーテッドロウイングの手順は以下の通りです。
- ウエイトの負荷を設定する
- イスに座って太ももをパッドで固定する
- 両腕を前方に伸ばして手前のグリップを握る
- 両肘を曲げながら両腕を後方に引いて肩甲骨を内転させる
下記は実際にシーテッドロウイングで肩甲骨を内転させている様子で、上記の手順4に該当します。
ここでさらに腕の動きだけに特化した具体例を以下に示します。
上記の写真は全て先述の手順4の状態を現していますが、それぞれに違いがあるのは一目瞭然です。
この内、理想的なのは当然、左側です。
中央と右側は肩甲骨が適切に内転しておらず、なおかつ胸椎が十分に伸展していません。
それぞれの様子は以下の通りです。
- 左側:肩甲骨は内転し、胸椎は伸展している
- 中央:肩と首がすくんでいる→肩甲骨の内転が制限され、胸椎は伸展していない
- 右側:腰を大きく反らせている→肩甲骨は内転しているが、胸椎の伸展が不足している
胸椎の伸展が十分に起こらないと、肩甲骨の適切な動きが制限されて代わりに首、肩、腰などが不自然に動いてしまいます。
ですから、適切に背骨のコンディショニングを行うなら肩甲骨だけではなく胸椎にも注目する必要があります。
腰椎と骨盤をセットで考えよう
腰椎と骨盤をセットで考えるべき理由はインナーユニット※の存在があるからです。
インナーユニットというのは身体中心部で骨格を支えているインナーマッスルのことです。
インナーユニットが機能するからこそ腰椎も骨盤も安定した状態を保つことができ、背骨の自然なS字をキープすることもできます。
以下でその様子が確認できます。
骨盤と股関節をセットで考えよう
骨盤という言葉は一般的ですが、骨盤帯となるとどうでしょうか?
一般の人ほど、骨盤帯って?となると思われますが、骨盤も骨盤帯も寛骨、仙骨、尾骨という3つの骨で構成されているいわゆる骨盤を指していることには変わりありません。
違いとしては、以下のように私は考えています。
そして、機能という点から骨盤帯は仙腸関節、恥骨結合、股関節という3つの主要な関節で構成され、以下のようにそれぞれが下から上へ、もしくは上から下へなどのように力の伝達を中継しています。
このような機能が十分に発揮されるからこそ歩行や立位姿勢で身体の左右バランスや均衡が保たれ、背骨のS字をキープすることができるのです。
そこで、この3つの関節に注目することが骨盤の歪み改善のポイントになります。
さらに、注目するポイントを以下のように分けて考えます。
- 仙腸関節、恥骨結合 → ストレッチ
- 股関節 → 筋トレ中心
上記のように分ける理由ですが、まず仙腸関節、恥骨結合はほとんど動かない関節だからです。
筋トレで強化しようと思っても難しいし、特徴としては負担がかかってケガにつながりやすい関節です。
だから、筋トレで強化しようというよりもストレッチで負担を軽減しようというわけです。
一方で、股関節は球関節と呼ばれる構造で非常に自由度の高い関節です。
ストレッチも重要ですが筋力で安定させること、安定させながら動かすことが重要です。
ですから、筋トレを中心にしようというわけです。
背骨のコンディショニングにつながるストレッチと筋トレについて
ストレッチ編
背骨のコンディショニングに役立つストレッチ
上記にて4種類のストレッチを紹介しています。
伸ばす時間は最大30秒です。
柔軟性に左右差がある場合は硬い方に時間をかけましょう。
肩甲骨、胸椎のコンディショニングに役立つストレッチ
ポイント
- 両腕を動かしながら同時に肩甲骨の動きも意識する
- 肩甲骨と同時に胸椎の伸展もイメージする
- インナーユニットを意識しながら行う
3つのパターンをそれぞれ10回実施してください。
肩甲骨のストレッチに
は非常に効果的なツールです。
肩甲骨の可動域を拡大したい人にはおすすめです。
骨盤帯のコンディショニングに役立つストレッチ
上記にて3種類のストレッチを紹介しています。
伸ばす時間は最大30秒です。
柔軟性に左右差がある場合は硬い方に時間をかけましょう。
筋トレ編
肩甲骨+胸椎エクササイズ ベーシック編
10回×3セットを目安に実施してください。
手順
- バランスボールに座って両腕を真横に広げる
- 両腕を前後に動かしながら背骨全体を曲げ伸ばしする
ポイント
- 両腕を動かしながら同時に肩甲骨の動きも意識する
- 肩甲骨と同時に胸椎も動かすイメージを持つ
- 背骨がS字になるときはインナーユニットを意識する
肩甲骨+胸椎エクササイズ アドバンス編
ポイント
- 両腕を動かしながら同時に肩甲骨の動きも意識する
- 肩甲骨と同時に胸椎も動かすイメージを持つ
- 背骨がS字になるときはインナーユニットを意識する
腰椎+骨盤エクササイズ ベーシック編
30秒×3セットを目安に実施してください。
手順
- 両肘を90度曲げる
- 両足の幅は腰編、両肘の幅は肩幅と同じにする
- 背部を天井に向け、つま先と両肘の4点で全身を支えるながら姿勢をキープ
ポイント
- 下半身と上半身を一直線にする
- 目線を正面に向ける
- 背骨をS字に保ち、インナーユニットを意識する
腰椎+骨盤エクササイズ アドバンス編
30秒×3セットを目安に実施してください。
手順
- 仰向けで両膝を90度曲げ、かかとをバランスボールの上に乗せる
- 両肘を90度曲げ、上腕部で床を押しながらお尻を持ち上げキープ
ポイント
- 下半身と上半身を一直線にする
- バランスボールを動かさないように行う
- 背骨をS字に保ち、インナーユニットを意識する
骨盤+股関節エクササイズ ベーシック編
10回×3セットを目安に実施してください。
手順
- バランスボールに座って両腕を真横に広げる
- 両膝に直径25㌢くらいのボールを挟む
- 腰椎と骨盤の動きを使ってバランスボールを前後、左右、回旋の順に動かす
ポイント
- 両肩と両膝の位置をなるべく動かさないように行う
- 背骨がS字になるときはインナーユニットを意識する
骨盤+股関節エクササイズ アドバンス編
10回×3セットを目安に実施してください。
手順
- バランスボールに座って両腕を真横に広げる
- 膝下をチューブで縛って、両膝と両足の幅を10㌢程度開ける
- 腰椎と骨盤の動きを使ってバランスボールを前後、左右、回旋の順に動かす
ポイント
- 両肩と両膝の位置をなるべく動かさないように行う
- 背骨がS字になるときはインナーユニットを意識する
以上のエクササイズでは、
などのエクササイズツールを使用しています。
以上のエクササイズで使用しているエクササイズツールは以下で購入可。
骨盤+股関節エクササイズ 番外編(レッグマジック)
自宅で気軽に股関節を強化できる方法を紹介しておきます。
レッグマジックという運動器具を使えば股関節を強化できるのでお勧めです。
内ももの筋トレという認識の方が一般的ですが、使い方に注意すれば内ももだけではなくお尻の筋肉も強化できるので、結果的に股関節全体の強化になります。
内ももだけではなくお尻にも効くやり方は上記の動画を参照してください。
ポイントは全可動域でスライドしないで、やや開脚気味のポジションで細かくスライドします。
さらに、以下の動画にあるようにスクワットをしながらレッグマジックを使ってみました。
すると、股関節により大きな負荷をかけられることが発見できました!
この使い方は筆者の実体験に基づいています。
インナーユニットを意識しながら使えば相乗効果で背骨のコンディショニングにもつながります。
自宅でテレビを見ながら気軽に股関節のトレーニングがしたい人にはおすすめです!
まとめ
背骨のコンディショニングを行う場合は、背骨だけではなく肩甲骨と骨盤に注目すると効率的に背骨の自然なS字をキープできるようになります。
なぜなら、肩甲骨や骨盤は背骨と連動しながら動くからです。
さらに、肩甲骨は胸椎と、骨盤は腰椎や股関節とそれぞれセットでトレーニングするのがおすすめです。
実際にトレーニングするときはバランスボールやチューブなどを利用しながら行うと取り組みやすいので有効活用しましょう。
レッグマジックのような運動器具も非常に効果的です。
また、一人では中々うまくいかない人はパーソナルトレーニングを受けてみましょう。
適切な指導であなたの理想に導いてくれるはずです。
吉祥寺のパーソナルトレーニングジム
導[MICHIBIKI]ストレッチ&エクササイズ
筆者の紹介
名前:SHIN
- トレーニング指導歴15年
- のべ5,000人以上に指導
主な経歴
- Texasレンジャーズにてインターンシップ
- 総合格闘技UFCの選手に帯同し、アメリカ遠征
- 拓殖大学硬式野球部コンディショニングコーチ
- 帝京高校硬式野球部コンディショニングコーチ
- 富士重工硬式野球部コンディショニングコーチ
- モデル、俳優などへのパーソナルトレーニング
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