はじめに
デッドリフトはウエイトトレーニングの中でも代表的な種目の一つ
動作自体は単純で前傾の姿勢からバーベルを持ち上げるだけ
たったこれだけの動作なんですが
デッドリフトを継続的に行うことで
背中では主に脊柱起立筋、下半身では主に大殿筋とハムストリングスを強化できます。
そしてそれにより、
- 背中の厚みが増す
- 臀部の筋肉が発達する
↑男性目線の魅力
- 背中からヒップのラインがキレイになる
- 基礎代謝がアップして太りにくい体質になる
↑女性目線の魅力
などビジュアル的に魅力のある効果を期待できます。
そして、先の魅力的な結果を引き出すにはたった3つのポイントに気をつけながら週1〜2回のペースでやり続けるだけでいい。
その3つとは以下
- フォーム
- 重さの設定
- 回数、セット数
ということでこの3つのポイントについて紹介するとともに
さらにこだわると良いポイントについても紹介します。
筆者は上記3つのポイントに気をつけながらデッドリフトを週1ペースでやり続けた結果、1年ほどでデッドリフトのMAX160kgを記録。※このとき初心者からのスタートでした。
160kg自体は特筆される記録ではありませんが、1年で到達したという点では決して悪くありません。
ただし、デッドリフト以外のトレーニング(スクワットなど)もやっていたのでそれがデッドリフトのパフォーマンス向上につながった可能性もあります。さらに補足するとデッドリフトは週1でしたがトレーニングは週3以上のペースで行っていました。
それについては下記の記事で詳しく紹介しています。
デッドリフトを続けた結果、気づいたことを共有させていただきます。
3つのポイント
フォーム
基本的なフォームについては以下3つを軸に考えましょう。
- スタート
- 立ち上がる
- フィニッシュ
※スタートとフィニッシュはほぼ同じフォームになります。
それぞれの注意点は以下の通り
1.スタート
- 背すじを伸ばす
- ハーフスクワットの高さでかまえる
- お尻を後方に突き出すようにかまえる
※ハムストリングスの柔軟性によりますが、ハーフスクワットよりしゃがむと立ち上がる瞬間の腰痛リスクが増えます。
2.スタートから立ち上がるまで
- 背すじを伸ばしたまま
- バーベルを脚から離さない
- バーの真下に足部の中央(ミッドフット)がある
※バーで脚を擦るように立ち上がります。バーが脚から離れるほど腰痛のリスクが増えます。
3.立ち上がってからフィニッシュまで
- 背すじを伸ばしたまま
- バーを足部の中央(ミッドフット)に近づけるように下げる
- お尻を後方に突き出しながら
- バーベルを脚から離さない
- つま先やかかと荷重にならない
※ハムストリングスが伸ばされるのを感じます。腰が伸ばされると腰痛リスクが増えます。
フォームに関してはこの1〜3ができていれば問題なし。
ケガのリスクを最小限に抑えながら背中や臀部の筋肉を十分に使うことができます。
もちろんバーベルがどれだけ重くなっても同じこと。
実践的なことをいうと、バーベルが重くなったり反復回数が増えるなど筋力の限界に近づくほどフォームが崩れやすくなるのでそこで現れるフォームの崩れをいかに制御できるかが効果を最大限に引き出すコツです。
そのコツは?
さらにこだわると良いポイントで紹介しています!
重さの設定
デッドリフトに限りませんがウエイトトレーニングで重さを設定する場合、自分の目的が以下のどれに最も近いかを確認しましょう。
- 最大筋力アップ
- 筋肥大
- 筋持久力アップ
上記それぞれについては以下で説明します。
最大筋力はいわゆるMAX(1RM)
最初に測定したデッドリフトのMAXが100kgなら○ヵ月後に120kgを目指すみたいに数値の記録を更新していくのが最大筋力のアップ。アスリート向けの方法です。
例:ドライバーの飛距離を上げるためにデッドリフトで下半身の最大筋力を高める
筋肥大は筋肉のサイズを太くする作業
筋肉を太くするので一般的な女性のニーズからは外れます。つまり、男性でマッチョ願望をもつ人向け。特に細マッチョよりもゴリマッチョ系ですね。
例:背中を厚くしたい、臀部の筋肉のボリュームを増やしたい
筋持久力は筋肉の持久力
どれだけ重たいものを持ち上げるかではなく、どれだけ長く一定の筋力を発揮し続けられるか。有酸素運動は全身の筋持久力アップが可能ですが、ウエイトトレーニングを行うことで特定の動作に対する筋持久力をアップさせることができます。見た目も筋肉のサイズを太くすることなく引き締めていくことができます。ムキムキは嫌だけどキレイに引き締めたい女性向けです。
例:細身のパンツを履くので脚を太くすることなく太ももとふくらはぎを引き締めたい
回数、セット数
- 最大筋力を上げるか
- 筋肥大するのか
- 筋持久力を上げるか
自分の目的達成には3つのどれに集中するかわかれば重さの設定だけではなく、回数とセット数の目安もわかります。
その目安は
- 最大筋力 →1〜5回
- 筋肥大 →6〜12回
- 筋持久力 →15〜20回
最大筋力なら1RM、2RM、3RM、4RM、5RM
筋肥大も筋持久力も同じ考え方です。
重さ、回数、セット数の設定をもっと詳しく知りたい場合は下記の記事を参照してください。
上記3つのどれにフォーカスするか決まっていればすぐにわかるように書かれています!
※基本的な考え方はデッドリフトもスクワットも同じです。
スクワットをやり続けた結果、現れる3つの効果が多くの男性のニーズを満たすワケを解説!
さらにこだわると良いポイント
トレーニング用品
リストラップ
デッドリフトをやっていく上で問題となるのが握力の消耗や前腕の筋疲労。
バーベルが重くなる場合だけではなく余裕のある重さであっても反復回数が増えれば消耗も疲労もします。
そこで便利なのがリストラップ
リストラップを使うことでバーベルを吊るすような状態になるので握力や前腕の筋肉を消耗・疲労させることなく背筋群に刺激が入ります。
最大筋力アップや筋肥大が目的の人はもちろん筋持久力アップであっても反復回数が増えれば消耗・疲労するので積極的に活用したいアイテムです。
リストラップを使っている様子はコチラで↓
デッドリフトのときにリストラップを使ってますか?
例え50kg前後の重さでも反復してれば握力が消耗して前腕が張ってきます。
慣れてる人には当たり前のアイテムですが
最近やり始めた人は
もしかしたら何それ?😳かもです。巻き方?
スタッフに聞けば教えてくれますよ😉
あると便利ですよ✨ pic.twitter.com/xFzALNYwkt
— 自重とウエイトいいとこどりフィットネス! (@8Fourth) March 22, 2024
シューズ
ウエイトトレーニングをやるためのシューズがあるんです。
ランニングシューズを使ってウエイトトレーニングをする人もいますが、
デッドリフトやスクワットを高負荷で行う人にはおすすめできません。
ランニングシューズってウエイト用のシューズに比べるとクッション性が重視されているので重いバーベルを使うトレーニングでの足首の安定性という点でベストなチョイスではありません。
やはり床反力をダイレクトに受ける足首の安定性は重要。
その方がケガの予防もパフォーマンスのアップにも好影響です。
筋トレ シューズで検索すればいろいろ出てきますが、筆者の経験上(トレーニング歴20年)では以下のリフティング用シューズがおすすめです。
適度な硬さで力が入りやすく感じます。
足で床を押す感覚が全然違いますね。
トレーニングベルト
デッドリフトといえば腰痛とイメージされるくらい腰に負担がかかりやすいのはよく知られています。
腰の負担を減らすには腹圧が重要なのでまずは自分の筋力で腹圧を高めないといけませんがトレーニングベルトを使用することで腹圧を高めやすくなります。
最大筋力や筋肥大が目的の人は積極的に活用しましょう。
デッドリフト以外のトレーニング
なぜ、デッドリフトのために他のトレーニングをするのか?
それは適切なフォームをマスターし、腰のケガを予防することにつながるから
この2つは重いバーベルを持ち上げることに比べ地味ですが
この地味な作業を軽視すると必ず後悔します。
詳細は以降で詳しく説明していきます。
スクワット
スクワットもデッドリフト同様に下半身と体幹に高負荷をかけるトレーニング
使う筋肉もほとんど同じ
なのになぜやるといいのか?
もし、デッドリフトもスクワットも初めてなら最初にスクワットから始める方がおすすめです。
理由はスクワットの方が
- 肩甲骨を寄せやすい
- 腰を痛めにくい
- 股関節の可動域を安全に広げやすい
肩甲骨を寄せやすい
バーベルを身体の前で持つデッドリフトに比べ、バーベルを肩の後ろに担ぐスクワットでは腕の筋肉に大きな負荷はかかりません。
腕の筋肉が過度に緊張すると肩甲骨の機能は低下する
↑ゴルフ、野球、テニスなど典型例
その点からスクワットの方が肩甲骨を寄せて背すじを伸ばすのは簡単です。
腰を痛めにくい
次に同じ重さのバーベルならデッドリフトよりスクワットの方が腰の負担は減ります。
それはバーベルの位置が違うから
以下の通り身体の前でバーベルを抱えるデッドリフトよりも身体の後ろでバーベルを担ぐスクワットの方が重心から腰までのモーメントアームは短くなります。
モーメントアームが短い方が結果的に股関節で発揮する力が小さくてすむ
↑力のモーメントより
参考サイト:Con Maga
つまり、主働筋の一つである大殿筋への負担が減ることになり、筋膜でつながっている腰に対してもリスクが減ることになります。
※下記はローバー・スクワットで比較しています。
股関節の可動域を安全に広げやすい
股関節の可動域についてはデッドリフトもスクワットも股関節を屈曲させる必要があります。それならデッドリフトでもスクワットでも同じに思えるかもしれませんがどちらがケガのリスクを抑えることができるかは前述の通りスクワットです。
それなら、初心者の人ほどリスクの少ないスクワットで股関節の可動域を広げる方が安全です。
初心者向けスクワットの基本的なやり方と解説↓
プランク
なぜプランクが必要か?
それは骨格を筋力で安定させるため
骨格を支える筋肉といえばインナーマッスルですが
代表的なインナーマッスルといえば
- 横隔膜
- 腹横筋
- 多裂筋
- 骨盤底筋
この4つはインナーユニットと呼ばれ、相互に協調しながら腰椎と骨盤を支えます。
インナーユニットについて詳しく確認したい人は下記の記事をどうぞ。
【初心者向け】インナーマッスルとは何か⁉︎わかりやすくその役割と鍛え方を解説!
インナーユニットの重要性
デッドリフトやスクワットはウエイトトレーニングの中でも特に腰を痛めるリスクが高い種目でもあります。
そこで先述のインナーユニットです。
インナーユニットを適切に使うことで腹圧を高めることにつながります。
ただし、インナーユニットはそれぞれがバラバラに働くわけではありません。
あくまで協調的にユニットとして使うことで腰椎の安定につながります。
特にデッドリフトやスクワットではブレーシングという方法で腹圧を高める必要があります。
ブレーシングのやり方を動画で解説↓
腹圧を高めるベーシックなトレーニングがプランク
いきなりデッドリフトやスクワットでブレーシングをできてしまう人もいますが、ほとんどがアスリートなど一部の運動能力の高い人です。
私が約20年トレーニング指導してきた経験上、アスリートであっても苦戦する人もいました。
つまり、初心者や不慣れ人ほど苦戦する人は増えると予想されます。
そこでまずは運動強度を落としてブレーシングすることになりますが、
それがプランク↓
プランクを行うことでデッドリフトやスクワットをいきなりやるよりもブレーシングの感覚をつかみやすくなります。
プランクを基礎から確認したい人は下記の記事を参考にしてください。
プランクの効果について解説。どこに効くのか?どうやればいいのか?そんな疑問に答えます!
腹筋トレーニング
デッドリフト=背中トレーニング
こんなイメージが強いくらいデッドリフトでは背筋群をかなり使います。
当然、腰を含め背部の筋疲労も強くなるのでバランスをとる意味で腹筋のトレーニングも多めに取り入れる方が背骨の前と後ろで筋力のバランスがとれるので腰痛の予防になります。
そこでおすすめの腹筋運動を以下に紹介します。
- クランチ
- レッグレイズ
- V字シットアップ
- ダイアゴナルクロス
エクササイズの名前だけ見ても?な人は下記の動画を参考にしてください。
デッドリフトを行う頻度
デッドリフトってどのくらいのペースでやるのがいいの?
週2の場合
まず週2回やる場合ですが、
最大筋力、筋肥大、筋持久力のどれが目的であっても
2回とも限界に近い重さでやるのはおすすめしません。
例をあげると以下のようなパターン
- 最大筋力アップのため2回とも5RM
- 筋肥大のために2回とも10RM
- 筋持久力アップのため2回とも15RM
◯RMとはその◯回がギリギリできる重さなのでこれでは2回とも限界まで追い込んでいることになります。
繰り返しになりますが、デッドリフトは背部の緊張が強いられるトレーニングです。
例え2日〜3日の間隔を空けながらやってもずっと続けていれば疲労として蓄積していく可能性は高い。
ですから、週2でやる場合は以下のようなやり方をおすすめします。
- 週の1回目→RMで重さと回数を設定
- 週の2回目→軽めの重さでフォームチェックを目的に
つまり、週2の場合は1回目は追い込み、もう1回は動作の確認やフォームのチェックを目的に余裕のある重さ、回数、セット数にしておきましょう。
週1の場合
類似の下半身トレーニングもやっているならデッドリフトは週1で十分
類似の下半身トレーニングで典型例なのはスクワット
スクワットはデッドリフト同様に背部や臀部の筋肉を追い込んでいます。
それにもかかわらず週2回以上デッドリフトでも追い込めば必ず腰痛リスクを高めます。
つまり、
スクワットもデッドリフトも追い込み系ならどちらも週1で十分
ただし、
デッドリフトの日とスクワットの日を最低2日は空ける
さらに、
インナーマッスル強化や補助的な腹筋運動も行う
そして、
筋膜リリースやストレッチなどのケアをタイムリーに
私自身は20年近くスクワットもデッドリフトもほとんど追い込み系で毎週1回づつやっています。
その中で腰痛を2回経験していますが、どちらも上記4点のいずれかを怠ったときでした。
上記4点を守ってやっている限りは明らかにデッドリフトやスクワットが原因と考えられる腰痛にはなっていません。
ですから、BIG3のMAX記録にこだわりたいとかハードな下半身トレーニングが必要な人には参考にしていただければと思います。
スクワット以外の例としては以下
- ランジ系種目
- ベントオーバーロウ
いずれも高負荷でのトレーニングが可能な種目です。
ベントオーバーロウは上半身と背中の種目ですが股関節の屈曲可動域が必要なので腰への負担という点では同等のリスクがあると考えられます。
まとめ
デッドリフトを継続的に行うことで得られるメリットが大きいことは理解できたと思います。
あとは適切なフォーム、重さ、回数、セット数を守るだけ
- 最大筋力
- 筋肥大
- 筋持久力
自分の目的が上記のどれに最も近いかを確認した上でケガに気をつけてがんばってください。
適切にやり続ければ必ず効果は現れます。
吉祥寺のパーソナルトレーニングジム
導[MICHIBIKI]ストレッチ&エクササイズ
筆者の紹介
名前:SHIN
トレーニング指導歴15年
主な経歴
- MLBテキサスレンジャーズのインターンシップを経験
- 総合格闘技UFCの選手に帯同し、アメリカ遠征を経験
- 拓殖大学硬式野球部コンディショニングコーチ経験
- 帝京高校硬式野球部コンディショニングコーチ経験
- 富士重工硬式野球部コンディショニングコーチ経験
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