はじめに
マッサージガンで得られる効果とは何か?
最も注目してほしいのが筋膜リリースの効果
筋膜リリース自体は、
フォームローラーなど専用のツールを使って行うこともできます。
ところがフォームローラーを使った筋膜リリースでは下記のように姿勢を変えながら行う必要があります。
つまり、体位の変換がイヤな人にとってはリラックスした状態ではない。
一方のマッサージガンは座ったまま寝たままなど楽な姿勢で筋膜リリースできる。
つまり、できる限り楽な姿勢で筋膜リリースしたい人はフォームローラーよりもマッサージガンを選ぶ方がよいといえます。
マッサージガンに効果なしと感じている人はココに注目
痛みのあるところばかりケアしてる
患部に使うだけでは効果が現れない理由
マッサージガンを使っていて以下のように感じたことはありませんか?
使った直後は楽になるけどすぐにいつも通り…
この傾向は慢性の症状で特に顕著です。
腰痛や肩こりが慢性化している人は腰痛や肩こりという結果を引き起こしている原因が患部(腰や肩)以外にあります。
要は、結果ではなく原因にアプローチするべき
例えば、
- 腰痛の人が下半身のストレッチをしたら腰が楽になった
- 肩こりの人が脇腹や背中の筋肉をストレッチをしたら肩こりが緩和した
上記はいずれも結果ではなく原因へのアプローチが功を奏した例
つまり、慢性の症状ほど原因は患部とは別にあると考えるべき。
以上をふまえて2つの具体例を見ていきましょう。
具体例1:マッサージガンで腰痛が改善しない
腰やおしりだけにマッサージガンを使っている人で腰痛が改善しない場合、そこには必ず理由があります。
端的にいえば、患部しか筋膜リリースしてないから
そして、同じ部位ばかり筋膜リリースし過ぎて筋肉が弛緩し、力が入りにくくなっている
つまり、腰を支える力が落ちている可能性が高い。
さらに、その代償として他の筋肉(腰やおしり以外)や筋肉以外の組織(靭帯や軟骨など)への負担が増えていきます。
つまり、腰に力が入らない分を他で補うということ
この代償運動という現象は慢性の腰痛をより深刻な状態に招く可能性があります。
下記のような円柱形の積木を真っ直ぐ積み上げる場合を考えます。
前提として、揺れなどで積木が崩れないためには5個のストッパーが必要だとします。
この場合、5個それぞれのストッパーが相互に作用し合いながら力のバランスを保っていることになります。(イラスト左側を参照)
ところが、何らかの理由により5個の内の2個のストッパーが機能しなくなればどうなるか?
当然、力の均衡が崩れて積木をキレイに支えることが難しくなります。(イラスト右側を参照)
キレイに支えることができたとしても残された3個のストッパーには過度な負担がかかることになり、時間の経過とともにストッパーの耐久性は低下していき、積木も徐々に崩れていくはずです。
上記の積木を腰痛に置き換えると以下のようになります。
- 積木 → 腰椎や骨盤、股関節
- 機能していない2個のストッパー → 腰やおしりの筋肉
- 負担がかかっている3個のストッパー → 腰やおしり以外の筋肉や靭帯、軟骨など
要するに、腰やおしり以外の筋肉であるとか、靭帯や軟骨などに過度な負担をかけながら腰椎や骨盤、股関節をなんとか支えている状態です。
そして時間の経過とともに他の筋肉も靭帯も軟骨も消耗していきます。
支える力はどんどん低下していきます。
これでは痛みや違和感が解消されるはずがありません。
結果として、マッサージガンに効果なし…
と感じてしまう可能性があります。
具体例2:マッサージガンで肩こりが改善しない
肩まわりだけにマッサージガンを使っている人で肩こりが改善しない場合、そこには必ず理由があります。
端的にいえば、患部しか筋膜リリースしてないから
あれ⁉︎腰痛と同じ流れ⁉︎
そうなんです。基本的には同じこと。
つまり、前述の腰と同様に肩関節も頸椎も複数の筋肉や靭帯、軟骨などが相互に影響し合って力の均衡を保ちながら支えられています。
にもかかわらず、患部の筋肉だけを筋膜リリースしていればそこだけはリラックスしていくけど、他の筋肉は反対に緊張していく。
なぜなら、全ての筋肉が弛緩すれば積木が崩れるように骨格も崩れるから
だから、他の筋肉は緊張を強くしてなんとか肩関節や頸椎を支えようとがんばります。
しかし、がんばりにも限界があります。
本来、肩関節や頸椎を支えている筋肉の内、特定の筋肉だけ力が入りにくくなれば、
結果として肩関節や頸椎を支える筋肉全体の力の均衡が崩れていき、患部以外の筋肉や筋肉以外の組織はどんどん緊張を強いられていきます。
そして、行き着く先は消耗と劣化。
つまり、肩関節や頸椎を支える力はどんどん低下していきます。この理屈は前述の腰と同じ。
これでは痛みや違和感が解消されるはずがありません。
結果として、マッサージガンに効果なし…
と感じてしまう可能性があります。
なんか切ないですね…😥
良くなるためにマッサージガンを使ってるのに逆に悪くなることがあるなんて…
でも、悲観することはありません!
悪循環にはまるパターンがわかればあとは修正するだけです。
マッサージガンよりもフォームローラーの方がいい場合もある
マッサージガンではなくフォームローラーを選ぶメリットは何か?
その一つがローラーに患部を押し当てる際に自分の体重も利用できる点です。
特に背中やハムストリングス、ふくらはぎなど身体後面の筋肉は荷重を利用してローラーを使った方が強い刺激を得やすいといえます。
これは筋肉量の多い人やマッサージの施術で強い刺激を求める人に当てはまる傾向です。
実際に私がそのどちらにも当てはまるので実体験からの意見です。
マッサージガンの効果を出すための使い方
腰痛の予防編
腰まわりをマッサージガンで刺激していても十分に回復しない人に注目してほしいのが腸腰筋
腸腰筋は腰を支えている筋肉の一つ。
腰痛の予防や解消では必ずアプローチするべき筋肉です。
問題はどこにあるのか?
端的にいうと、腰椎、骨盤の前面。
ですから、身体の後ろにある腰まわりの筋肉を刺激していても腸腰筋を刺激することにはなりません。
腰が痛いという理由で腰ばかりケアしていた人には大きな盲点です。
下記の動画で腸腰筋を刺激するポイントを参照してください。
個人差はありますが、すぐに効果を感じられる場合もあります。
首や肩こりの予防編
肩まわりだけをマッサージガンで刺激していても効果を感じない人は肩以外に注目しましょう。
真っ先に注目してほしいのが前鋸筋(脇)と小胸筋(胸)です。
まずは前鋸筋から。
前鋸筋に力が入ると肩甲骨は前方に引っ張られるように移動します。これは肩甲骨の外転という作用です。ところが前鋸筋が硬くなると外転した状態で固まります。すると猫背に近い姿勢になり、首や肩のこりを感じやすくなります。
続いて小胸筋。
小胸筋には肩甲骨を下制させる働きがありますが、こちらは筋力が低下すると肩甲骨が挙上した状態で固まります。すると猫背に近い姿勢になり、首や肩のこりを感じやすくなります。
予防、解消には小胸筋に力を入れて肩甲骨を下制させる練習が効果的。
前鋸筋、小胸筋いずれのアプローチも下記の動画を参照してください。
膝痛の予防編
膝痛の予防にマッサージガンを使うとしたらどうすればいいか?
膝まわりの筋肉を緩める
実はこれは予防として必ずしもベストアンサーではありません。
なぜなら、膝まわりの筋肉を緩めると膝関節を支える力が低下することがあるから。この傾向は運動不足で膝が痛くなるような人に顕著に現れます。
さらに膝関節の安定に影響を与えるのが股関節、足関節(いわゆる足首)の可動性(可動域と筋力)です。
実際、機能解剖学には下記のようなknee in toe outという膝に負担がかかる状態を表す用語があります。これは以下2つが同時に起こる現象です。
- knee in→膝が内側を向く
- toe out→つま先が外側を向く
knee in toe outが起これば膝関節に捻れのストレスがかかり、筋肉だけではなく靭帯や軟骨にも影響が及びます。
最悪の場合、前十字靭帯や内側側副靭帯、内側半月板を全て損傷することもあります。
いずれにしてもknee in toe outが起こる主な原因は股関節、足関節の可動性の低下です。
そして、knee in toe outは運動不足の人だけに起こるわけではありません。
普段からトレーニングしている人であっても起こり得ます。
その具体例は筋肉の疲労です。
長時間もしくは長期間に渡ってトレーニングしているとケア不足やその他の要因で筋肉が疲労していきます。筋肉が疲労した状態では力が入りにくいので結果的に筋力不足と同様に股関節を支える力が低下します。つまり、knee in toe outも起こりやすくなります。
だからこそ、股関節や足関節を支えている筋肉をマッサージガンで刺激するのです。
これが膝痛だけど股関節、足関節をケアする理由です。
実際のやり方は下記の動画を参照してください。
※下記で紹介しているのは股関節のみです。足関節のやり方は次項で紹介しています。
足底腱膜炎の予防編
立っているときや歩いているときなど足部に荷重した姿勢で足裏や踵(かかと)に痛みを感じた経験はありませんか?
これは足底腱膜炎の典型的な症状です。
以下に当てはまる人なら一度は経験したことがあるかもしれません。
- 革靴を履いて立っている時間や歩く時間が長い
- 靴底が擦り減ったままランニングをしている
- 機能性が低くデザイン重視の靴(ヒールなど)しか履かない
まず、足底腱膜とは足の指である足趾(そくし)の付け根から踵の骨である踵骨(しょうこつ)に向かって足の裏(足底)に扇状に張り巡らされている腱膜のことをいいます。
上記の通り足底腱膜には足裏のアーチ構造である足底アーチを支える重要な役割があります。
足底アーチの代表的な機能は以下の通り
- トラス機構
- ウィンドラス機構
トラス機構について詳しくいうと、
足部に荷重すると下記のように足底アーチはつぶれます。
しかし、ただつぶれるのではなくつぶれながらも衝撃を吸収しています。
これは足底腱膜の弾力性による効果(トラス機構)です。
次にウインドラス機構です。
歩行でもランニングでも地面を蹴ると足部は下記のように足の指である足趾(そくし)が伸展します。※伸展とは反ることです。
伸展によって足底腱膜は引っ張られます。
引っ張られることで足底アーチが強固になり足部が安定します。
さらに、引っ張られた足底腱膜は伸ばされたバネのように縮もうとします。
このバネのように足底腱膜が縮むことで地面を蹴る力が生み出され歩行やランニングでの推進力となります。
以上がウインドラス機構です。
上記を整理すると、
- トラス機構により足を接地したときの地面からの衝撃が吸収・分散される
- ウィンドラス機構により地面を力強く蹴ることができる
つまり、足底アーチの機能を発揮するために足底腱膜の役割は超重要。
そして、足底腱膜炎とは何らかの原因により足底腱膜が疲労して炎症を起こした状態です。
足底腱膜炎になると足裏が地面に接触するだけで痛みを感じるようになります。
長時間の歩行や立ち仕事、機能的に不適切なシューズの着用や不良姿勢など原因はいろいろあり得ますが、予防策の一つは普段から足底腱膜をケアしておくことです。
そこでマッサージガンです。
下記の動画を参照して足底腱膜を刺激するポイントを確認してください。
※効果には個人差があります。
腱鞘炎の予防編
腱鞘とは骨と筋肉をつないでいる腱を包んで、腱がスムーズに動くように支えている組織のこと。つまり、腱鞘炎とは腱鞘と腱が擦れ合って炎症を起こす症状です。
腱鞘炎の主な原因は手の使い過ぎです。
一般の人でもゴルフやテニスで発症することがあります。
また、ピアニスト、マッサージ師、重たい調理器具を扱う料理人などは腱鞘炎が職業病の一つになることが多いとされています。
そこで普段からマッサージガンを使ってケアをしておくのが効果的です。
マッサージガンの使い方は下記の動画を参照してください。
※効果には個人差があります。
スポーツ後のケアに適した使い方を動画で紹介
ここでは愛好家の多いゴルフについてプレー後の肩、肘、腰のケアの仕方を紹介しています。
身体の痛みがあってはゴルフを十分に楽しむことができません。
ぜひ、参考にしてください。
マッサージガンのデメリット
マッサージガンにデメリットはあるのか?
適切な使い方をしている限りデメリットはありません。
しかし、注意してほしいことはあります。
特に下記のような場合は使用を避けましょう。
- 頭部への使用
- 急性期の痛み
- 明らかな炎症や腫れ
(注)頭部への使用は個人差がありますが本記事ではすすめません。どうしても行う場合は振動レベルに気をつけてください。
まとめ
マッサージガンに効果がないと感じている人は適切な使い方をできていない可能性があります。そんな人には本記事で紹介した内容が役立てば幸いです。
また、使用にあたっては注意点もあるので初めての人は使用法を確認しながら使いましょう。
吉祥寺のパーソナルトレーニングジム
導[MICHIBIKI]ストレッチ&エクササイズ
筆者の紹介
名前:SHIN
トレーニング指導歴15年
主な経歴
- MLBテキサスレンジャーズのインターンシップを経験
- 総合格闘技UFCの選手に帯同し、アメリカ遠征を経験
- 拓殖大学硬式野球部コンディショニングコーチ経験
- 帝京高校硬式野球部コンディショニングコーチ経験
- 富士重工硬式野球部コンディショニングコーチ経験
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