背中トレーニングはデッドリフトだけでいい⁉︎
結論からいえば、デッドリフトをやる人の目的によります。
デッドリフトで使われる背中の筋肉のメインといえば脊柱起立筋ですが
それ以外に広背筋も鍛えることができるし
上背部の菱形筋や僧帽筋(上部〜中部)、下背部の僧帽筋(下部)や腰方形筋も使われます。
ここで注目したいのが
デッドリフトは
脊柱起立筋のトレーニングとしてベストなトレーニング
ではあるが
広背筋や上背部、下背部のトレーニングとしてはベストではない
という点です。
脊柱起立筋が発達することでビジュアル的に満足できる人は必ずいます。特にトレーニング歴1年未満の人であればこれまで見たことない自分の身体の変化として満足できる可能性は高いでしょう。
そのような意味では背中のトレーニングはデッドリフトだけでいいと思える人も一定数います。
しかし、ボディメイクの大会や競技スポーツのパフォーマンス向上を目的にする人にとっては脊柱起立筋だけではなく上背部や下背部も含めまんべんなく鍛えることが推奨されます。
そこでこの記事では、
- デッドリフトだけでどのような見た目になれるのか?
- 背中に一番効くデッドリフトの種類は何か?
- デッドリフト以外にやった方がいい背中トレーニングは何か?
- スクワットとデッドリフトの違いは何か?
- デッドリフトの代用になる背中トレーニングはあるのか?
- デッドリフトだけやっていると現れるマイナス要素はあるのか?
上記のような疑問をもつ人向けに順番に解説していきます。
ぜひ最後までお付き合いください!
デッドリフトだけでどのような見た目になれるのか
デッドリフトは全身運動
デッドリフトの動作では、背中だけでなく臀部を含めた下半身の筋肉を効率的に使います。また、それ以外にも動作中の適切なフォームをキープするためにインナーマッスルや腹筋群も使います。つまり、
- デッドリフトの動作を行うための筋肉→下半身
- デッドリフトの動作で姿勢を維持する筋肉→上半身
上記の通り下半身も上半身もどちらも大きな筋肉を一気に鍛えることができるのがデッドリフトのメリットです。
ということは、背中のトレーニングとしてデッドリフトだけを一定期間行ったとしても以下のような効果を期待できます。
- 背中の厚みが増す
- 姿勢の矯正
- 美しいバックライン
順番に説明していきますね。
背中の厚みが増す
デッドリフトでは以下2つの動作で脊柱起立筋の筋力を使います。
- 上半身を前傾させた状態から起こす動作
- 直立姿勢から上半身を前傾させる動作
バーベルが重くなればなるほど上半身が丸まりやすくなりますが、
それに抗うように上半身の姿勢をキープし続けることで脊柱起立筋には大きな負荷がかかります。
ですから、適切なフォームを崩さないことを前提にできる限り重いバーベルでトレーニングしていけば脊柱起立筋は確実に発達しその結果、背中の厚みが増していきます。
バックエクステンションのように脊柱起立筋に特化した種目もありますが、自重よりはるかに重いバーベルを利用できるという時点でデッドリフトに軍配が上がります。
ただし、広背筋や僧帽筋などに負荷をかける方法としてはベストとはいえないので、背中の厚み以外に逆三角形やV字型の背中を目指したいという人はデッドリフトだけでは十分な効果を期待することは難しいといえます。
姿勢の矯正
デッドリフトで適切なフォームをキープできれば脊柱起立筋など背中の筋力がアップしていきます。仮に背中の筋力が弱ければ背中が曲がった姿勢になるので猫背のような姿勢を矯正するにはデッドリフトは効果的です。
さらに、適切なフォームには背中の筋力だけではダメ
腹筋群やインナーマッスルの作用も必要不可欠
具体的にいえば、
脊柱起立筋の筋力で背骨を後方から支えつつ
腹部周辺のインナーマッスルの筋力で腹圧を高める
これにより、構造的に不安定な腰椎を筋肉の機能で安定させながら支えることができます。
つまり、脊柱起立筋をはじめとした背中の筋力や腹部のインナーマッスルなど姿勢に影響する筋肉をバランスよく鍛えることができるのがデッドリフトです。
インナーマッスルについて基礎から確認したい場合は以下の記事をどうぞ
インナーマッスルとは何か⁉︎初心者や女子にもわかりやすくその役割と鍛え方を解説!
腹圧について基礎から確認したい場合は以下の記事をどうぞ
プランクだけで痩せるのか?効果はあるのかないのか?どこに効くのか?そんな疑問に答えます!
美しいバックライン
特に女性のニーズとして多い背中のライン
デッドリフトによって背中や体幹の筋肉が強化されると背骨の並びが自然なS字に近づき、背中のラインが美しく見えるようになります。
背中に一番効くデッドリフトの種類
一般的なデッドリフト↓
ルーマニアン・デッドリフト↓
一般的なデッドリフトとルーマニアン・デッドリフトを比べたときにどちらが背中(特に脊柱起立筋)に効くか?結論を先にいうと同じ重さのバーベルなら
ルーマニアン・デッドリフト
理由は以下の通り
- 一般的なデッドリフト→股関節も膝も大きな可動範囲で使う
- ルーマニアン・デッドリフト→膝を軽く曲げて固定するから股関節だけの運動
当然ですが動作に関与する関節が多い方が動員される筋肉も多くなります。
よって、ルーマニアン・デッドリフトを行うと下半身では股関節に負荷が集中するし、股関節だけではなく背中の筋肉もより使わないとフォームを保つことができなくなる。
なので、背中に負荷を集中させるならルーマニアン・デッドリフトを選択するべきです。
以上の違いを図解で確認したい場合は以下の記事をどうぞ
デッドリフトを続けた結果、気づいたことを共有させていただきます。
デッドリフト以外にやった方がいい背中トレーニング
肩甲骨に注目
背中の筋肉の中でも脊柱起立筋に的を絞るならデッドリフトだけで十分ですが、
広背筋や僧帽筋、菱形筋など肩甲骨の内転に影響する筋肉までしっかり刺激するなら
デッドリフトよりも肩関節の可動範囲が大きくなるロウイング系やプル系のトレーニングも取り入れるべきです。
以降で具体例を紹介します。
初級編
シーテッド・ロウ(大腿部固定)
ラットプルダウン
ワンハンド・ロウ
上級編
シーテッド・ロウ(足固定タイプ)
ベントオーバー・ロウ
チンニング
デッドリフトに次ぐ高負荷の背中トレーニング
答えはスクワット
スクワットの主働筋は臀部、下半身に集まっていますが
上半身を前傾させてバーベルを担ぐので背中にも負荷がかかる
バックエクステンションという代表的な背筋トレーニングもありますが、
そもそもバックエクステンションとスクワットでは脊柱の運動が違います。
- バックエクステンション→脊柱を屈曲させた状態から伸展させる
- スクワット→脊柱を伸展させたままキープ
バックエクステンションでの脊柱の動き↓
バックエクステンションでも最終的に脊柱を伸展させますが、屈曲した姿勢から行うため腹圧を高めない方がこのトレーニング自体がやりやすくなります。自重でやる分にはさほど問題にはなりませんが、バーベルを担ぐようなやり方は腹圧が抜けているから厳禁です。やったら高確率で腰を痛めます。
となると脊柱を伸展させたまま腹圧を高め、かつ重いバーベルを担ぐことのできるスクワットの方が背中の筋肉にも刺激が入ります。
よって、デッドリフトに次ぐ高負荷トレーニングならスクワットがベスト
さらにいうと、バーベルを担ぐ位置で背中への負荷も変わります。
三角筋後部の上部でバーベルを担ぐローバーのスクワットが脊柱起立筋への負荷が大きくなります。
ローバー・スクワットに対してハイバー・スクワットもあります。
ハイバー・スクワットは僧帽筋上部あたりでバーベルを担ぐ
デッドリフトのフォーム修得に欠かせないトレーニング
これもスクワットです。
デッドリフトもスクワットもどちらも股関節の屈曲可動域を広く使いますが、決定的に違うのは腰への負担の大きさです。
同じ重さのバーベルならスクワットの方が腰への負担は少なくなります。
ですから、デッドリフト初心者の人でスクワットもやったことがないならまずはスクワット優先の方が安全性がアップします。
スクワットがデッドリフトより腰の負担が少ない理由は下記の記事で確認できます
BIG3をやり続けた結果、スクワットに比べてベンチは記録が伸びなかった⁉︎その原因を考察!
スクワットでもデッドリフトでも腰が痛くなる…
この場合、腹圧に問題がある可能性大
そもそも腹圧って何?という人は下記の動画をどうぞ
デッドリフトだけでは背中の筋肥大に不十分な理由
2つのマイナス要素
デッドリフトをやる人のレベルによりますが、上級者ほどデッドリフトだけでは背中の筋肥大としては物足りなくなります。
理由は2つ
- デッドリフトの主働筋は背中ではなく下半身の筋肉
- 背中の筋肉には主働筋以外の役割がある
背中の筋肉はデッドリフトの主働筋ではない
デッドリフトの動作を簡単にいえば、
背すじを伸ばしたまま屈伸を繰り返す
つまり、デッドリフト動作の源になるのは下半身(特に股関節と膝関節)
上半身は前傾こそしますが、基本的に背すじを伸ばして固定しているので動作の源ではなく動作を円滑に行うための姿勢維持が基本です。
え⁉︎デッドリフトって背中のトレーニングでしょ?
とこんな疑問をもつ人はこれを機会に正しい知識を整理しておきましょう。
そもそもですがトレーニングには主働筋という概念があり、これは動作の源になる動きを起こす筋肉でデッドリフトでいうなら股関節と膝関節を伸展させる筋肉になります。
上記のように上半身を起こすときに股関節と膝関節が伸展する
- 股関節の伸展→大殿筋、ハムストリングス
- 膝関節の伸展→大腿四頭筋
以上を整理すると、
- デッドリフトの主働筋は大殿筋、ハムストリングス、大腿四頭筋
- 背中の筋肉は主働筋ではなく他の作用として関与する
背中の筋肉の役割
脊柱起立筋
そして、主働筋とは別に動作中の姿勢が崩れないように力を入れる筋肉があり、デッドリフトでいうなら上半身の姿勢が崩れないようにキープする筋肉がその一つです。
デッドリフト動作中の上半身に注目するとどの曲面(上記)であろうと背すじを真っ直ぐに伸ばしています。もちろん腹圧を高めた上で。
バックエクステンションのように意図的に脊柱を曲げることはない
これにより、脊柱は伸展したまま固定されます。そして、脊柱の伸展に最も関与するのが脊柱起立筋
脊柱の伸展→脊柱起立筋
さらに、固定する上でやや理論と実践に乖離する部分が生まれます。
具体的にいえばバーベルの重さがリフターの筋力の限界に近づくにつれ
脊柱の伸展をキープするのが難しくなる
そして、バーベルの重さに負けて脊柱が屈曲しそうになる瞬間がありますが
そこで踏ん張って伸展させようとすることで脊柱起立筋には伸張性の負荷がかかります。つまり、限界に近いときのデッドリフトでは脊柱起立筋が伸張性収縮していることになります。
つまり、この条件下でデッドリフトを行っていれば脊柱起立筋のボリュームは確実にアップしていきます。さらにいえば、脊柱起立筋を鍛えることだけに関していえばデッドリフトは最適です。
しかし、これは脊柱起立筋に限った話し。
背中の筋肉は脊柱起立筋だけではありません。
その他
デッドリフトではバーベルを身体から離れないように引きつけておく必要がありますが、このときに上半身では以下2つの動きが起こります。
- 肩関節の伸展
- 肩甲骨の内転
どちらも腕を後方に動かすことで起こる動きです
いずれも運動範囲はわずかですがそれにより、以下のように脊柱起立筋以外の背中の筋肉にも力が入ります。
- 肩関節の伸展→主に広背筋
- 肩甲骨の内転→主に僧帽筋や菱形筋
脊柱起立筋との違いは
- 筋の収縮の仕方が伸張性収縮ではなく短縮性収縮
- 肩関節の伸展も肩甲骨の内転も可動範囲がわずか
よって、以下の点がポイントになります。
つまり、脊柱起立筋に対しては筋肥大を十分に期待できるが、広背筋や僧帽筋や菱形筋などにはそこまで期待できない。
ですから、上級者に近づくほどデッドリフトだけでは背中の筋肥大に対して十分とはいえません。しかし、初心者や初めたばかりの人が一定の筋力レベルに到達するまではデッドリフトだけで十分な背中のトレーニング効果を感じることができます。
まとめ
背中のトレーニングがデッドリフトだけでいいのかどうか?
それはトレーニング歴や目標によって変わります。
本記事でその理由を理解した上で自分のニーズに合ったやり方を見つけてください。
吉祥寺のパーソナルトレーニングジム
導[MICHIBIKI]ストレッチ&エクササイズ
筆者の紹介
名前:SHIN
トレーニング指導歴15年
主な経歴
- MLBテキサスレンジャーズのインターンシップを経験
- 総合格闘技UFCの選手に帯同し、アメリカ遠征を経験
- 拓殖大学硬式野球部コンディショニングコーチ経験
- 帝京高校硬式野球部コンディショニングコーチ経験
- 富士重工硬式野球部コンディショニングコーチ経験
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