はじめに
BIG3といえばスクワット、デッドリフト、ベンチプレス
この3種目を中心にトレーニングすることが推奨される理由の一つが、全身の大きな筋肉を効率よく鍛えることができるから。
それにより、
- マッチョ体型を目指す男性の筋肥大
- ヒップアップや全身を引き締めたい女性の美容
- アスリートの最大筋力アップ
などを効率よく達成することができます。
BIG3では動員される筋肉の数が多くなる=トレーニングとして高効率
それぞれの種目で鍛えることのできる主な筋肉は以下の通りです。
スクワット(Squat)
- 主働筋:大腿四頭筋、ハムストリングス、大殿筋など
- 支持筋:脊柱起立筋、腹筋群、肩甲骨周囲の筋肉群
デッドリフト(Dead Lift)
- 主働筋:大腿四頭筋、ハムストリングス、大殿筋など
- 支持筋:脊柱起立筋、腹筋群、肩甲骨周囲の筋肉群
ベンチプレス(Bench Press)
- 主働筋:大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋など
- 支持筋:脊柱起立筋、腹筋群、肩甲骨周囲の筋肉群
BIG3はいずれも他のどの種目よりも高負荷で行うことに適しています。
つまり、上半身も体幹も下半身もBIG3以上に負荷をかけることのできる種目はない
だからこそアスリートやマッチョ体型のモテ男を目指す男子に根強い人気なんです
一方で、必ずしも高負荷で行う必要はありません。
負荷の増減をコントロールしながら行えば筋肉のサイズを太くするのではなく、引き締めてスタイル良く見せるなど女性の美容に特化することもできます。
はっきりいって、ジム通いするならやらなきゃ損!
しかし、BIG3をやり続けて好ましい結果を出せる人ばかりではありません。
特にケガで中断せざるを得ない人、再発が怖くてそのままやめてしまう人も少なからずいます。
この記事では、BIG3をやり続けて好ましい結果を得られた人だけではなく、
ケガによって思うような結果を出せなかった人にも焦点を当てつつ、ケガの原因を考察し、解決策を提案していきます。
BIG3を始めたのはいいけど腰が痛くて中断してしまった…など
ケガが原因で行き詰まりを感じている人には特に役立つ内容になっています
BIG3をやり続けた結果、自分がどのレベルに相当するのか知りたい
BIG3それぞれの挙上重量を合計する
3種目それぞれの最大挙上重量(いわゆるMAX)の足し算をします。
仮に以下の場合だと、
- スクワットの1RMが100kg
- デッドリフトの1RMが110kg
- ベンチプレスの1RMが90kg
100+110+90=300
BIG3それぞれの合計は300kgなのでこの場合のBIG3の記録は?と聞かれたら300kgと答えるのが一般的です。
挙上重量の合計を年齢別、体重別にレベル分け
やはり基準ってほしいですよね。
トレーニング上級者はどのくらい挙げるんだろう?
自分はどのへんに位置付けられるんだろう?
そこで以降では年齢別、体重別にBIG3のMAX平均値を紹介していきます。
スクワット、デッドリフト、ベンチプレスの年齢別・体重別MAXの平均値は下記サイトをもとに計算しています。
参考サイト:STRENGTH LEVEL
トップレベルから未経験までのMAX平均値(年齢別)
男性/年齢別
表中のトレーニング歴については以下の通りです。
- 1年未満・・・未経験ではないがトレーニング歴の浅い初心者
- 1〜3年・・・初心者のレベルは過ぎた中級者のレベル
- 3〜5年・・・中心者のレベルは過ぎた上級者のレベル
- 5年以上・・・上級者のレベルをさらに超えたトップレベル
女性/年齢別
表中のトレーニング歴については以下の通りです。
- 1年未満・・・未経験ではないがトレーニング歴の浅い初心者
- 1〜3年・・・初心者のレベルは過ぎた中級者のレベル
- 3〜5年・・・中心者のレベルは過ぎた上級者のレベル
- 5年以上・・・上級者のレベルをさらに超えたトップレベル
トップレベルから未経験までのMAX平均値(体重別)
男性/体重別
表中のトレーニング歴については以下の通りです。
- 1年未満・・・未経験ではないがトレーニング歴の浅い初心者
- 1〜3年・・・初心者のレベルは過ぎた中級者のレベル
- 3〜5年・・・中心者のレベルは過ぎた上級者のレベル
- 5年以上・・・上級者のレベルをさらに超えたトップレベル
女性/体重別
表中のトレーニング歴については以下の通りです。
- 1年未満・・・未経験ではないがトレーニング歴の浅い初心者
- 1〜3年・・・初心者のレベルは過ぎた中級者のレベル
- 3〜5年・・・中心者のレベルは過ぎた上級者のレベル
- 5年以上・・・上級者のレベルをさらに超えたトップレベル
筆者のBIG3について
参考までに私が過去に記録したBIG3のMAX合計値について紹介させていただきます。
- スクワットの1RMが192.5kg
- デッドリフトの1RMが160kg
- ベンチプレスの1RMが87.5kg
- 192.5+160+90=440
BIG3それぞれの合計は440kg
体重86kg、年齢43なのでなんとか上級者のレベルに入ることができています。
- 1年未満・・・未経験ではないがトレーニング歴の浅い初心者
- 1〜3年・・・初心者のレベルは過ぎた中級者のレベル
- 3〜5年・・・中心者のレベルは過ぎた上級者のレベル
- 5年以上・・・上級者のレベルをさらに超えたトップレベル
※スクワット(192.5kg)に比べると特にベンチプレス(87.5kg)のパフォーマンスが低いのがわかります。これは私なりに検討した結果とそれによる戦略が影響しています。詳細は後述しています。
BIG3をやり続ける過程で生じ得るケガについて
スクワットで多いケガ
スクワットに限らず3種目いずれについてもいえますがケガが起こる原因として特に多いと考えられるのは以下2つ
- 不適切なフォーム
- ウォーミングアップ不足
まず、フォームの点からいうと
不適切なフォームの結果ケガしやすいのはやはり土台にあたる下半身(特に膝)やそのすぐ上にある腰。
腰のケガについてはひと言でいって腹圧の弱さが主要因
スクワットでバーベルをかつげば背骨を支えるために脊柱起立筋など背部の大きな筋肉に力が入りますが、これはいわば身体の後方からの支持力です。
当然、前方からの支持力がなければ腰を反り過ぎることになります。
そこで、前方からの支持力が腹筋群を中心にした腹圧です。
腹圧を高めることで腹部の内部(腹腔)の圧力が高まります。
イメージとしては空気を限界まで入れてパンパンに膨らんだボールがお腹の中にある
こんな感じ↓
まとめると
- 身体の後方→背筋の張力
- 身体の前方→腹圧
両者の力の均衡によって背骨に最も負担の少ないS字状の弯曲をキープできます。
こんな感じ↓
ところが、腹圧の弱いスクワットでは背筋の張力が優位になります。
早い話しが、腰を強く反るから背骨の弯曲も変化する。
つまり、自然なS字状ではなくなる。
このような背骨の支え方では腰の筋膜の緊張を増大させたり、腰椎の椎間板へのストレスを増大させるなど腰のケガにつながります。
私が実際に見てきた中でスクワット中の腰のケガとして最も多かったのは筋膜性腰痛でした。
腹圧が低下して腰部、背部の筋緊張が増大。
その結果、腰の筋膜が過度に緊張して炎症し、筋膜性腰痛を起こす。私自身も3回ほど経験していますが受傷直後はかなり痛いです。
参考サイト:ILC国際腰痛クリニック東京
余談ですが、
私自身はこの業界に入る前と入った後で一回づつ筋膜性腰痛になった経験があります。前者のときは機能解剖学や運動生理学の知識が全くなかったので骨折したのでは??と不安になったことをよく覚えています。逆に後者のときは回復と復帰に向けて十分な知識があったので最短距離でトレーニングに復帰できたと自負しています。
スクワット中に膝を痛める例も少なくありません
私が実際に見てきた中の不適切なフォームのトップ2は以下
- 膝が内側に入るパターン
- つま先に荷重し過ぎるパターン
膝が内側に入るのがNGというのは広く認知されてきましたが、さらに注目なのが筋肉や腱だけではなく靭帯や半月板にも負担がかかる可能性があるということ。
そして、つま先に荷重し過ぎると踵(かかと)が浮いて前方につんのめりやすくなります。
そのままだと前に倒れてしまうので踏ん張ることになりますが、そのときにメインになるのが膝を伸ばす大腿四頭筋の筋力。大腿四頭筋の出力が強くなる一方で、ハムストリングスの出力が弱くなると脛骨が前方に引っ張れます。
こんな感じ↓
上記のように踵の浮いたスクワットでは膝蓋腱に強いストレスがかかるし、さらに前十字靭帯や内側側副靱帯、半月板にもストレスが波及していきます。
適切なスクワットでは大腿四頭筋とハムストリングスの筋力の均衡が保たれ、膝関節のポジショニングも安定するので脛骨が不必要に強く前方に引っ張られることはありません
最後に、十分なウォーミングアップを行わずに重いバーベルでスクワットを行うのも腰や膝の負担を増やします。
気温の低下や疲労の蓄積などにより腰や膝を支えている筋肉の出力が一時的に低下するので、いつもと同じ重さのバーベルであってもフォームが崩れて先のメカニズムで腰や膝を痛める可能性があります。
デッドリフトで多いケガ
スクワット同様に以下2つの点から確認していきます。
- 不適切なフォーム
- ウォーミングアップ不足
デッドリフトで最も多いケガはやはり腰。膝をケガしたという人も中にはいるかもしれませんが、私の経験上では一度も見たことがありません。
デッドリフトで下半身の筋肉が疲労したことが引き金になって、他の種目で膝を痛める可能性はありますが直接のケガではないのでここではそのパターンは除外します。
腰のケガに話しを戻すと、
デッドリフトでの不適切なフォームについてはスクワット同様に腹圧の低下が真っ先に考えられます。
しかし、スクワットとは痛めるメカニズムが違います。
その違いとは何か?
それはスクワットが背骨に直下型の圧力が加わるのに対して、デッドリフトでは背骨に直下した圧力ではないという点。
何のこっちゃ?という人は以下を読み進めてください
まずデッドリフトではバーベルを両手でグリップします。↓
バーベルが床に落下しないようにするには筋力で支える必要がありますが、特に注目してほしいのが以下2つ
- 上半身を丸太のように固める筋力→腹圧や背筋の張力で背骨を固定
- バーベルを真上に動かす股関節の筋力→大殿筋などの力でバーベルを持ち上げる
上半身を丸太のように固める筋力が弱ければ、バーベルの重さで背中は丸まってしまいます。
これは背骨のS字状の弯曲が崩れることを意味します。
デッドリフトで背中が丸まるということはそれだけで腰にダメージが大きいのは容易にイメージできますよね。
そのまま続けていれば腰の筋膜にはムリヤリ引き伸ばされるような負荷がかかるので
筋膜性腰痛のリスクが高くなるし、椎間板がダメージを受ける可能性もあります。
だからこそ、腹圧と背筋の張力で背骨を固定し、下記のように上半身を丸太のように固める筋力が必要不可欠となります。
それでも背中が丸まってしまう場合はリフターの限界を超えた重量を無理に持ち上げていることになり、当然ケガのリスクが上がります。
その他には股関節の弱さによって腰にかかる負担はスクワットよりもデッドリフトの方が大きくなると考えられます。
どちらもバーベルを下から上に持ち上げるトレーニングですが、その際に各所に働く力の関係をテコの原理(第3のテコ)を基に考えてみます。
下記イラストのようにスクワットもデッドリフトもそれぞれが最もバーベルが下がった状態(最も大殿筋の筋力が必要な姿勢であると同時に最も腰の負担が増大する姿勢でもある)をイメージしてください。
上半身(バーベルの重さが作用する点から股関節まで)で以下のようにテコの原理を考えます。
- 支点 →股関節
- 力点 →大殿筋の起始部
- 作用点→バーベルの重さが作用する点
上記をよく見れば支点から作用点までの距離(手書きの矢印)であるモーメントアームがスクワットよりもデッドリフトの方が長いのがわかります。
一方で、力点を大殿筋の起始部と考えれば、支点から力点までの距離(モーメントアーム)はスクワットもデッドリフトも同じです。
上半身のフォームを保つにはいずれも以下2つの式(力×距離)がイコールになる必要があります。
- (支点から作用点までのモーメントアーム)×(バーベルを支えることで背中にかかる力)
- (支点から力点までのモーメントアーム)×(力点で発揮される筋力)
参考サイト:Con Maga
スクワットもデッドリフトも同じ重さのバーベルを使っている場合、
支点から作用点までのモーメントアームが長いデッドリフトの方が力点でより大きな筋力を発揮しないと上記の式がイコールになることはありません。
つまり、上半身のフォームを保つことができなくなります。
だからこそ、バーベルの重さが同じならデッドリフトの方が大殿筋の筋力をより必要とし、同時にその筋力が弱ければ上半身のバランスを崩して腰に負担がかかるリスクが増すと考えられます。
大殿筋の筋力が弱ければ他の筋力で補う可能性があり、その一つが腰を反る力です
腰を反る力(背筋の張力)が優位になればなるほど腹圧との力の均衡が崩れていくので腰の筋膜の緊張が増大して筋膜性腰痛を起こしたり最悪の場合、椎間板の損傷や腰椎の疲労骨折を引き起こすリスクもあります。
それ以外にもバーベルを持つときの両手の幅やバーベルの握り方、両足の幅も腰のケガにつながる可能性があります。
デッドリフトでのバーベルの手幅には以下の通り3パターンあります。
- スタンダード→両手の幅が肩幅※ここを基準と考えます
- ナロウ→両手の幅が腰幅より狭い
- ワイド→両手の幅が肩よりも広い
次にバーベルの握り方は以下の通り3パターン。
- プロネイト(回内)※手のひらでバーベルを上から包み込む
- スピネイト(回外)※手のひらでバーベルを下から包み込む
- オルタネイト(順手と逆手)※左右の手の向きが逆
プロネイトのグリップ↓
スピネイトのグリップ↓
オルタネイトのグリップ↓
そして、足幅は以下の2パターン。
- 腰幅〜肩幅
- ワイド→肩幅の1.2〜1.5倍
上記の手幅、バーベルの握り方、足幅をそれぞれ任意に組み合わせて行います。
最も頻度の高い組み合わせは以下2つ
- ノーマル・デッドリフト(手幅→スタンダード/足幅→腰幅/グリップ→プロネイト)
- ワイド・デッドリフト(手幅→ナロウ/足幅→ワイド/グリップ→オルタネイト)
そして、どちらが腰への負担が少ないかといえばノーマル・デッドリフトです。
理由は、手幅、足幅、グリップの組み合わせにあります。
まず、手幅がスタンダード(肩幅)の方が肩甲骨を内転させるのに大きな制限がない。
逆に手幅がナロウ(腰幅より狭い)になると両腕の位置が身体の前方になるので肩甲骨の内転に制限が生じてきます。
人体の構造上、以下のように両腕の位置が身体の真横から後方になければ肩甲骨は内転させにくくなるからです。
肩甲骨の内転をキープできないと背骨のS字状カーブも崩れてきます。
これが腹圧の低下につながるのはスクワットと同じこと
さらに、グリップをオルタネイト(逆手)にすると片方の肩関節は内旋しているのにもう片方は外旋します。これは肩甲骨のポジショニングを左右で変えることになるので腹筋群や背筋群の緊張に左右の差が生じます。そのまま継続していると骨盤の高さが左右で変わるなど骨盤の歪みにもつながる可能性もあります。
ウォーミングアップについてもスクワット同様に、気温の低下や疲労の蓄積などにより腹圧がが一時的の低下しているといつもと同じ重さのバーベルであってもフォームが崩れて腰を痛める可能性があります。
ベンチプレスで多いケガ
スクワット、デッドリフト同様に以下2つの点から確認していきます。
- 不適切なフォーム
- ウォーミングアップ不足
私が見てきた中でベンチプレスで最もケガが多かったのは肩ですが、その他にも手首を痛めたり腰を痛める人もいました。
まず、肩を痛める可能性が高いのは肩関節の安定性が崩れた場合です。私が実際に見てきた中で最も多かったケガの一つがインピンジメント症候群です。
インピンジメントとは特定の骨同士(上腕骨頭と肩峰)が衝突を起こす状態です。
肩関節の肩峰にはその真下に一定のスペースがあり、ここにローテーターカフ(腱板)や滑液包、靱帯などの組織があります。
人体の構造上、腕を上げたときの方が肩峰下のスペースが狭くなります。
安定性の高い肩関節では腕を上げて肩峰下のスペースが狭くなってもローテーターカフ(腱板)や滑液包、靱帯などの組織が挟まれることはありませんが、
ベンチプレスなど上半身のトレーニング量が多くなると肩甲骨を動かしたり固定したりする筋肉が疲労するので肩関節の安定性は低下していきます。
このような疲労状態で腕を上げると肩峰下のスペースが通常より狭くなるので、骨(上腕骨頭)と骨(肩峰)の衝突によりローテーターカフ(腱板)や滑液包、靱帯などの組織が挟まれてダメージを受ける可能性が高くなります。
インピンジメント症候群の症例が多いのは野球やテニスなど腕を高速でスイングするスポーツですが、ベンチプレスなど上半身のトレーニングが引き金になることも十分に考えられます。
さらに、
インピンジメント症候群が痛みのスタート地点となってより重症に発展していく可能性もあります。例をあげると、
- 肩峰下滑液包炎
- 関節唇損傷など
肩峰下滑液包炎は前述のインピンジメント症候群からの延長上にあるケガになります。
関節唇損傷は肩関節を支えている腱が関係しています。
肩関節を支えている筋肉といえばローテーターカフ(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)が有名です。
しかし、ローテーターカフ以外に上腕二頭筋の長頭腱にもその役割があります。
そして、この上腕二頭筋長頭腱が肩の関節唇と関係があります。
下記イラストのように上腕二頭筋の長頭腱は関節唇の上方につながっています。
ということは上腕二頭筋の緊張が強くなると長頭が関節唇の上方を引っ張る力が生まれ、最悪の場合、関節唇を損傷することがあります。
続いて、
手首を痛めるパターン
手首を痛めるのは大きく分けて2つ
- 持ち方が悪い→初心者に多い
- 重すぎ→上級者でもあり得る
端的にいえば、下記のようにバーベルを乗せる位置が手首よりも指の方に近づくほど手首の負担は増えます。
初心者で適切なグリップを理解してない場合はもちろん、上級者であっても重いバーベルを扱うことで無意識にバーベルを乗せる位置がズレていくこともあります。
最後に、
腰を痛めるパターンとしてネックになるのが腰のブリッジ
腰のブリッジを作って、かつ腰を反る反動を使いながらバーベルを上げようとするパターン。このときに腹圧が背筋群の張力に負けて腰を痛める可能性があります。
ただし、腰を反る反動を使うという動作はパワーリフティングのテクニックの一つでもあるので腰を痛める人全てが初心者というわけではありません。
腰への負担があることを理解した上でパフォーマンスを追求する上級者もいます。
あくまで、これからベンチプレスを本格的に始めたいという人に参考にしていただければと思います。
スクワットとベンチプレスのパフォーマンスは両立しにくい⁉︎
これは私が個人的に感じていることなんですが、
スクワットで高負荷を挙げられるようになることはベンチプレスのパフォーマンスにマイナスなのか?
という気がしています。
そう考える理由ですが、スクワットではバーベルを担ぐ際に以下2つのことが起こります。
- 胸郭が広がる
- 肘が曲がる
こんな感じ↓
まず、胸郭が広がるには大胸筋の柔軟性が必要です。
つまり、スクワットで高いパフォーマンスを挙げるには大胸筋の柔軟性が十分にあることになりますが、
スクワットをがんばることで大胸筋の柔軟性が高くなり過ぎて力が入りにくい状態になっているのでは?と感じています。
さらに、上腕三頭筋についても同様に感じています。
上腕三頭筋に十分な柔軟性がない状態でバーベルを担いだまま肘を曲げると、肩甲骨が内転ではなく挙上してポジショニングが安定しない可能性が高くなります。
つまり、スクワットで高いパフォーマンスを挙げるには大胸筋に加えて上腕三頭筋の柔軟性も十分にあることになります。
これは何を意味するのか?
結論としては、ベンチプレスの主働筋である大胸筋と上腕三頭筋の柔軟性が高すぎて力が入りにくいコンディションになり、主働筋の出力が低下している可能性があるのでは?
このように感じるわけです。
逆も同様で、ベンチプレスで高負荷を挙げられるようになることはスクワットのパフォーマンスにマイナスなのか?
という気もしています。
そう考える理由は、ベンチプレスでの下半身の使い方にあります。
ベンチプレスで高重量を挙げるには上半身の筋力はもちろん体幹や下半身の使い方も重要です。
実際にベンチプレスのパフォーマンスが高くなるほど腰を強く反りながら股関節をできる限り伸展させている人が多いように感じます。
こんな感じ↓
上記のように股関節を伸展させ、背部、臀部、ハムストリングスなど(股関節・伸筋群)を最大限に緊張(短縮性収縮)させた姿勢が最もフォームが安定し、かつ上半身にも力が入りやすいからだと考えられます。
※短縮性収縮とは筋肉が縮みながら力を発揮している状態
ベンチプレスでは股関節の伸展が重要→股関節・伸筋群は短縮性収縮
しかし、これはベンチプレスでパフォーマンスを上げることに特化しているフォームであってスクワットで高いパフォーマンスを上げることにはマイナスに作用する可能性があります。
理由は、
スクワットでは股関節を屈曲させる際に股関節・伸筋群が伸張性収縮するから
※伸張性収縮とは筋肉が伸ばされながらも力を発揮している状態
以下のような相反する関係性がある
- ベンチプレス→股関節を最大限に伸展させた状態を続ける
- スクワット→股関節を屈曲させる可動域が必須
つまり、ベンチプレスのパフォーマンスが上がることで臀部やハムストリングスが伸張性収縮しにくい状態になっているのでは?と感じています。
私自身の話しをすると、スクワットの1RM(MAX)が192.5kgであるのにベンチプレスの1RM(MAX)が87.5kgとずいぶん違いがあります。
参考までに、筆者は43歳で体重86kgなのでSTRENGTH LEVELのサイトを参考にすれば、
スクワットはトップレベル寄りの上級者なのに、ベンチプレスは中級者寄りの初心者です。
体重86kgだと165kg近くベンチプレスがあがらないとトップレベルには入れないし、134kg近くあがらないと上級者にも入れません。
私自身はBIG3をやっている中でスクワットとベンチプレスに先のような相反する関係性があるように感じたので、スクワットに重点を置くことにしました。
ベンチプレスよりもスクワット重視の理由は以下3点です。
- BIG3の数値は3種目の合計
- 下半身の筋肉は全身の筋肉の60%〜70%
- 一般的にベンチよりスクワットの方がMAX数値が大きい
よって、1〜2種目(スクワット、デッドリフト)だけに集中しても合計のMAX数値は稼げます。
これはあくまで私個人の考えなのでスクワットもベンチプレスもどちらも高いパフォーマンスを目指すという人はそれはそれでがんばってもらえればいいと思います。
まとめ
BIG3はトレーニングでたいへん人気のある種目ですが、高負荷を追求すればするほどケガのリスクも上がります。
本記事ではできる限りケガのリスクを減らしながらパフォーマンスを上げられるようにしていただくことを念頭にしています。
それでは安全面に気をつけながらがんばってください。
吉祥寺のパーソナルトレーニングジム
導[MICHIBIKI]ストレッチ&エクササイズ
筆者の紹介
名前:SHIN
トレーニング指導歴15年
主な経歴
- MLBテキサスレンジャーズのインターンシップを経験
- 総合格闘技UFCの選手に帯同し、アメリカ遠征を経験
- 拓殖大学硬式野球部コンディショニングコーチ経験
- 帝京高校硬式野球部コンディショニングコーチ経験
- 富士重工硬式野球部コンディショニングコーチ経験
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